交通事故

脊髄損傷5級等で併合4級が認定された事案の示談交渉事例

ご相談内容
交差点をバイクで直進していたDさんが、侵入して来た自動車に衝突されて起きた事故でした。怪我の度合いは重く、左足関節に機能障害が生じ、左足指にも著しい運動障害が残りました。Dさんは今後の手続きや相手との交渉について不安を感じられたため、治療中の段階で当事務所に相談に来られました。

当初から示談での解決を希望されていましたが、私たちは示談交渉であっても、保険会社の「自賠責基準」ではなく、「裁判基準」をもとにして賠償金や慰謝料を算出することを提案。独自の調査や検証によって、後遺障害の等級認定に必要な書類を作成。これをもとに示談交渉した結果、損害賠償金24,610,000円を取得し、無事、解決に至りました。
解決方法
主な争点は、加害者の過失割合、被害者の休業損害、後遺障害による業務への影響の3つでした。こちらの提示金額に対して減額を要求する相手方にどう反論し、立証するかが焦点になりました。
刑事記録をつぶさに調べ上げ「加害者の過失が10割」と主張
交通事故では、どちらに過失割合が多いかで賠償内容が大きく変わります。先行して直進していた二輪車に路外から進入した四輪車が衝突したこの事例では、四輪車側に大半の過失があるのは当然ですが、私たちは事故の起きた場所が交差点内であったことを重視。過失割合においてDさんに、より有利になるよう検討すべきと主張しました。

相手は反論しましたが、刑事記録をもとに四輪車側の注意義務が加重されるべきと強調。私たちの主張が認められ、10:0という被害者にとって有利な過失割合で示談することができました。
低く見積もられた休業損害を高い賃金水準に格上げ
Dさんが事故によって失われる利益の算定内容についても、双方に大きな金額差がありました。

Dさんは症状固定時に29歳で、実収入が男性の全年齢平均賃金を下回っていました。相手方は、それを理由にDさんの将来にわたる稼ぎ高を低く見積もり、平均賃金に基づく金額を提示したこちらに対して、大幅な減額を要求してきました。私たちはこれに真っ向から対抗。Dさんの過去の昇給状況や、昇進の可能性など綿密に調査して根拠を示し、反論しました。結果は私たちの主張が通り、平均賃金に近い金額で示談することができました。
後遺障害が残ることで起きる業務や昇進への悪影響を主張
交通事故による後遺障害は、復帰後の仕事にも影響を及ぼします。Dさんの場合は左足指に重い障害が残りました。しかし、相手方は「事務作業には支障がない後遺障害であり、労働能力の喪失は限定的である」として認めません。

これに納得できない私たちは、Dさんに対して具体的な業務内容の聞き取り調査を実施。すると、事務作業だけではなく、歩行を伴う現場作業が含まれていることや、現時点でも後遺障害によって業務に具体的な支障が生じていることが判明。事故後に収入が減少したことや、将来の転職や昇進に対しても悪影響を与えることなどを報告書として提出。労働能力の喪失率が高いという私たちの反論は相手方に認められ、示談内容にも反映されました。
弁護士より一言
相談に来られた段階から、裁判ではなく示談で解決したいというのがDさんのご要望でした。私たちは当初から「裁判基準」に基づいて算出した示談金を提示して交渉に臨みました。これに対し、相手側は上記のような理由を根拠に、「自賠責基準」や「保険会社基準」による低い金額を提示。交渉は難航しましたが、こちら側に有利な証拠資料が揃っていたことや、裁判での経験を生かした示談交渉力が功を奏して、満足できる結果を得ることができました。

Dさんにとっては後遺障害の残る辛い事故体験でしたが、適正な賠償金を獲得したことで、将来への安心につなぐことができてよかったと考えています。

山本 直樹

弁護士:山本直樹