解決事例SOLUTION EXAMPLE

2018.11.15

右下肢の機能障害等併合8級について示談が成立した事例

ご相談内容

解決方法:示談
受傷部位:右下肢(足関節)など
後遺障害等級:併合8級
取得金額:約4225万円(自賠責保険金及び労災含み,治療費及び休業損害の既払いを除く)

Tさんは,平成26年ころ,バイクを運転して丁字路交差点を直進する際に,同交差点を右折しようとする対向車に衝突されてしまい,右上肢(右腕)や右下肢(右足)などの骨折を負い,入院を余儀なくされました。
治療を続けていく中で,医師から手術を勧められたこと,勤務先から退職を促されたことから,今後の対応を考えるために,当事務所に相談のため来所され,受任に至りました。

その後,Tさんは,会社を退職することになったため,今後の示談交渉等の手続で必要になる書類を収集することになりました。
Tさんは,治療を継続されましたが,最終的には,右下肢の足関節に可動域制限が残存するなどしたため,労災及び自賠責において後遺障害等級の申請を行い,併合8級の認定を受けて,労災障害一時金約406万円や自賠責保険金819万円 を受領しました。

これらの労災や自賠責保険金では,損害の全額を補填することはできなかったため,その後に,相手方保険会社に対して,裁判外で不足額の損害賠償を求めたところ,相手方が弁護士に依頼したため,交渉においては,相手方弁護士との間で,追加の主張や証拠を提出するなどやりとりを重ねることになりました。

最終的には,上記保険金などの既払い金(治療費や休業補償を含む)のほか,相手方が3000万円を支払うという裁判基準と比較しても遜色のない示談案が提示されたため,Tさんの了解を得て,平成30年に裁判外の示談により解決しました。

解決方法

本件においては休業損害,後遺障害の内容及び程度並びに逸失利益が主な争点となりました。

仕事を辞めた場合の休業損害の請求

Tさんは,本件交通事故の後,仕事を辞めざるを得なくなり,収入がない期間が存在していました。 このような場合に休業損害を裁判等において認めてもらうためには,離職した原因が交通事故であることを立証する必要があります。 Tさんは,早期に当事務所へ依頼されていましたので,弁護士からTさんに,それまでの勤務先から必ず離職票の発行を受けること,離職の原因の記載が交通事故であると分かるようになっているかどうか確認することを離職前に助言することができました。 これを受けて,Tさんが勤務先に離職票の発行を依頼し,勤務先に対して,事故が原因で辞めたという事実が分かるように記載して欲しいと求めたところ,勤務先から,その旨の記載が明確になされた離職票の発行を受けることができました。 これによって,Tさんは,後日の弁護士同士の交渉においても,離職票の控えを証拠として提出し,失業後から再就職に通常必要となる期間について休業損害を認める内容での示談をすることができました。

後遺障害等級の認定

Tさんは,交通事故による受傷の結果,右大腿骨や右脛骨の骨折のほか,右踵骨の骨折や,右上腕骨や右手指の骨折んど,多数の部位を骨折されていました。 そのため,後遺障害等級の認定対象となる可動域制限や神経症状などについて,後遺障害診断書にもれなく記載してもらう必要がありました。 そこで,当事務所の弁護士が,症状固定直前に,Tさんと面談して受傷部位や残存している症状,可動域の状態などを確認し,医師に測定してもらうべき関節などを指導し,かつ手術後の醜状障害なども認定対象となることを説明し,その上で,Tさんは症状固定の診断を迎えることができました。 その結果,医師が作成した後遺障害診断書には,Tさんの後遺障害がもれなく記載され,最終的に,複数の後遺障害が認定された結果,最も重い足関節の可動域制限に他の後遺障害が併合されて,併合8級の認定を受けることができました。

逸失利益の主張立証

Tさんは,後遺障害が症状固定後,無事に再就職をすることができましたが,これにより収入が一定程度回復したため,後遺障害による逸失利益,特に労働能力喪失率がどのようになるかが争点となりました。 労働能力喪失の検討にあたっては,現在の収入だけでは無く,事故前の収入状態,現在の後遺障害の内容とそれによる業務上の支障,将来の収入の見通し,転職の可能性の有無などを検討する必要があります。 そのため,被害者の職業や業務の内容に基づいて,これらの要素を考えなければなりません。 本件では,Tさんは調理師として仕事をされていたため,資格取得後の収入の推移や事故直前の転職の経緯,将来の見込みや転職の可能性などについて,具体的な主張立証を行いました。 その結果,交渉段階において,こちらの希望どおりの内容での示談を行うことができました。

弁護士より一言

本件は,後遺障害の内容や勤務状況などについて複雑な面があり,損害額も大きいことから,一般的には訴訟によらなければ解決が難しい事案でした。

しかし,Tさんは早期に当事務所に依頼されていたため,損害の立証にあたって必要となる証拠を早期に収拾するなど十分な準備を行うことができたため,示談による早期解決を実現することが可能になりました。

本件のように事故に遭って負傷された場合には,是非とも早い段階で,弁護士にご相談下さい。

弁護士:山本直樹

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