交通事故

後遺障害等級10級10号の左手関節の可動域制限について示談が成立した事例

ご相談内容
解決方法:示談
受傷部位:左上肢(左橈骨遠位端骨折)等
後遺障害等級:10級10号
取得金額:約1341万円(自賠責を含み,既払いの治療費等は除く)

Oさんは,平成27年,自転車を運転中に,自動車の運転手から道案内を頼まれ,自動車に先行して案内を行っていたところ,その自動車に追突され,左橈骨遠位端骨折,両坐骨骨折,左恥骨骨折等を受傷されました。
Oさんは,平成28年まで通院して治療を続けられましたが,左手関節の可動域制限や疼痛が残存してしまい,自賠責から後遺障害等級10級10号の認定を受けられました。
その後,Oさんは,認定を受けた後遺障害等級が正しいかどうかについて悩まれていたため,相手方保険会社との話し合いが進まない状態となっていましたが,時効についても心配され,平成30年ころ当事務所に相談されて受任に至りました。
解決方法
Oさんが悩まれていた後遺障害等級については,相談の際に,弁護士が後遺障害診断書その他資料を拝見し,Oさんからも状況をお伺いして,現状の後遺障害に対する等級としては,現在の等級で問題がないことを確認しました。
そのため,後遺障害等級については10級10号を前提として手続を進めることになりましたが,Oさんが相手方保険会社から受けていた提示内容では,後遺障害による逸失利益や慰謝料などが実態を反映しない計算となっていたほか,裁判による場合の基準よりも低かったため,これらについて増額を求める交渉を行いました。
その結果,訴訟をすることなく,相手方保険会社の提示金額であった約890万円から約1341万円に増額し,裁判基準どおりの金額により示談することができました。
後遺障害等級の検討
交通事故による受傷の後,治療が終わっても残ってしまった症状については,後遺障害として扱うことになりますが,示談や裁判で後遺障害の有無や内容,程度などを主張立証するため,自賠責における後遺障害等級の認定を受けることになります。
どのような後遺障害に対して等級が認定されるかについては,一定の基準があり,認定に誤りがある場合には異議申立手続をとる必要がありますので,実際に後遺障害等級の認定を受けた場合であっても,被害者の症状に対してその認定が適切であるか否かを検討する必要があります。
Oさんの場合,本件交通事故による受傷の結果,左手関節の可動域が,健康な右手関節の可動域の2分の1以下となっていましたので,左手関節の可動域制限として,10級10号に認定が行われていました。
この場合,左手関節の疼痛については,可動域制限としての10級10号の後遺障害に含まれるものとして扱われることになりますので,それだけでは後遺障害等級の認定結果は変わらないことになることが予想されました。
また,他の部位の疼痛についても,14級9号の神経症状であれば,別の部位が認定されても,左手関節の可動域制限と併合された結果,併合10級が認定されるにとどまりますので,左手関節の可動域制限が認定されている本件では,損害賠償の内容には影響が出ないと見込まれました。
本件においては相談までに既に時間が経過していることもあり,上記の見通しについて弁護士からOさんに説明して方針を協議した結果,既に認定を受けた10級10号により手続を進めることになりました。
家事従事者としての休業損害
交通事故により受傷したために休業せざるを得なかった場合には,それによって得られなかった収入を損害として計算することになります。
Oさんは,本件交通事故当時,専業主婦として同居されている家族のために家事をされていました。
このような家事従事者の場合,女性の全年齢の平均賃金に基づいて,休業損害を計算するのが原則なのですが,高齢である場合などには年齢別平均賃金を用いて計算する事例が多くなります。
Oさんは,70歳代であったため,相手方保険会社からは,年齢別による低い金額での休業損害の提示が行われました。
しかし,Oさんは,家事だけではなく,夫の介護も行っていたため,当事務所の弁護士から,介護を含む家事従事として評価するべきであるとして,休業損害の増額を求めました。
その結果,相手方保険会社の提示金額から増額した金額により示談を成立させることができました。
後遺障害による逸失利益
後遺障害が残存した場合には,その程度に応じて,将来の働く力が一定程度減少しますから,それによる将来の減収分を損害として計算することになります。
任意保険会社の提案では,対象期間をやや短くして計算が行われていましたが,Oさんは家事従事者であり,既に70歳代であるため,本件交通事故がなければ,少なくとも平均余命の半分は家事従事を続けることができていたはずですので,この点を指摘して,後遺障害による逸失利益を増額して,示談することができました。
弁護士より一言
以上のとおり対応した結果,Oさんの場合は,裁判まで行わなくとも,示談の段階で,裁判基準による賠償額で解決をすることができました。
このように裁判外の示談で解決する場合であっても,弁護士が代理人として交渉を行うことにより裁判基準により解決できることがありますので,ご不明な点や疑問点がお有りの場合には,ぜひ弁護士にご相談下さい。

山本 直樹

弁護士:山本直樹

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