解決事例SOLUTION EXAMPLE
2023.09.20
機能障害12級で賠償額を約1.8倍に増額できた示談交渉事例
ご相談内容
原付を運転して交差点に青信号で進入したHさんは、赤信号を無視してきた軽自動車に出合い頭に側面から衝突されて、肩鎖関節脱臼等のけがを負い、手術や入院治療を余儀なくされました。
その後、肩の関節可動域が2分の1以下になったことなどから、後遺障害12級と認定され、相手方保険会社から賠償額の提示を受けましたが、提示額が妥当なのか疑問を持ち、弁護士に依頼しても自分にメリットがあるのか知りたいという理由から、当事務所に相談されました。
解決方法
Hさんに対する保険会社の提示額は約844万円でしたが、その内訳をみると、慰謝料や後遺障害逸失利益が裁判基準で計算した場合よりも明らかに低く算定されていたため、1500万円以上の賠償額が得られる見込みがありました。
Hさんには今回の事故に使える弁護士費用特約がなかったため、依頼のメリットがどの程度あるのか不安でしたが、増額の見込みやその説明を受けたことで、弁護士に示談交渉や裁判を依頼しても十分にメリットがあると考え、当事務所に依頼。
弁護士が改めて裁判基準に基づく損害額を請求した結果、賠償金として1550万円の支払を内容とする示談が成立し、Hさんは弁護士に依頼することで賠償金を約1.8倍まで増額することができました。
労働能力喪失期間の適正な認定を求める
依頼前の保険会社からの提示では、Hさんの後遺障害逸失利益の算定において、労働能力の喪失期間が10年とされていました。 しかし、後遺障害の内容が痛みなどの神経症状であれば、喪失期間を10年程度と算定することもあり得ますが、Hさんの後遺障害の内容や原因を考えると、その影響は就労が可能な間は継続すると考えざるを得ません。 そのため、喪失期間は原則通り就労可能年数とするべきと主張したところ、これを前提として、後遺障害逸失利益を依頼前から約450万円増額させた内容で示談に至りました。
裁判基準に基づく慰謝料の算定
また、保険会社からの提示では、Hさんの入通院慰謝料は裁判基準で計算した金額の半分以下、後遺障害慰謝料は裁判基準で計算した金額の約3分の1という低い金額に留まっていました。 示談交渉では、これらの慰謝料は裁判基準に基づいて算定されるべきと主張した結果、ほぼ裁判基準通りの慰謝料の金額が認定されることとなり、慰謝料の合計額は依頼前から約250万円増額となりました。
弁護士より一言
Hさんには、裁判実務における労働能力喪失期間の考え方や慰謝料額の基準からすると、増額できる見込みが高いとご相談時にご説明していましたが、ほぼその説明に近い内容で示談することができました。
本件のように保険会社からの提示後にご相談された場合であれば、どれくらい賠償額の増額が見込まれるか、具体的にご説明できることが多いため、Hさんのように弁護士費用特約がなく、依頼するメリットがあるのか悩んでおられる方でも、納得してご依頼いただくことができるかと思います。
弁護士:加藤誠実